アロマセラピーとは?精油とは?ローズは50本から1滴だけ!
アロマセラピーとは
Aroma=(香り)
Therapy=(療法)
と訳される自然療法です。
「アロマセラピー」と「アロマテラピー」の違いはあるのでしょうか?答えは、どちらも同じです。「アロマセラピー」は英語から日本語表記したもので「アロマテラピー」はフランス語から日本語表記した読み方です。
アロマセラピーという言葉は1920年代にフランスの科学者ルネ・モールスガット・フォセが研究中に片手にやけど負い、とっさに近くにあったラベンダー油に手を浸けたところ悪化するどころか、跡形も残らず驚く速さで治ったことが元でガットフォセが精油の研究をはじめ「アロマセラピー(芳香療法)」という言葉を作りました。
精油(エッセンシャルオイル)とは
精油は植物の花、枝葉、樹皮、果皮などから抽出される芳香物質です。精油は植物のもつ生命エネルギーが凝縮されたものと思っていただければよいと思います。
アロマセラピーはこの精油を用いて香り成分を通じ心身をリラックスさせ健康を促したり元気にしてくれます。レモンやペパーミントの香りで気分がスーッと爽やかになったり、ショウガやスパイスの香りをかぐと食欲がわいたりしたことはありませんか?
森や木々の中を歩いたりすると、すがすがしい気分になりませんか?これも、広い意味ではアロマセラピーになるのではないでしょうか。
精油の抽出方法について
芳香植物は約3000種類あるといわれており、その中で精油として加工できるのは約200種類といわれています。大量の芳香植物から少量の精油が作られるのです。例えば、1000sのラベンダーからは10〜30Kg、ローズは100〜300gしか精油が抽出できません。
特に、花から抽出されるローズやジャスミンやネロリ(ビターオレンジの花)などは少量しか抽出できないので、どうしても価格も高くなってしまいます。
3つの抽出方法
精油を抽出する方法は主に、「水蒸気蒸留法」、「溶剤抽出法」、「圧搾法」の3つです。精油の多くは「水蒸気蒸留法」で抽出されます。
水蒸気蒸留法
現在使われている水蒸気蒸留法の形は10世紀に錬金術師のアヴィケンナにより開発され、原型は5000年前のメソポタミア文明にまでさかのぼり、ローマ時代にも利用されていました。現在は装置も大型になり複雑化していますが基本的に原理は変わりありません。
原料となる植物を蒸留釜に入れ、釜の下で火を焚き加熱し蒸気を発生させます。すると、熱と圧力により植物の細胞壁が壊され芳香成分が蒸気の中に放出されます。この蒸気をパイプに集めパイプを冷却すると水蒸気が液体になります。
この液体をためておくと精油は水より軽いので上部に浮き、下部に抽出に用いた植物の蒸留水が出来ます。この時できた蒸留水をハーブウォーターまたはフラワーウォーターといい、例えばラベンダーを蒸留しできた蒸留水はラベンダーウォーターです。
溶剤抽出法(アンフルラージュ法)
ローズやジャスミンなどの花から精油を抽出する伝統的な方法です。
ガラス板に牛脂または豚油を厚さ1センチ位に塗り花びらを敷き詰めた上にかぶせます。花の香りが十分吸収されたらふたたび新しい花びらを敷き詰め、花の香りの吸収が飽和状態になるまで繰り返します。
ジャスミンであればこの作業を約3週間繰り返すのですが、この花の香りでいっぱいになったものを「ポマード」と呼びこのポマードとエタノールを混ぜて約一日撹拌し香りをエタノールに移して、エタノールを真空下で蒸発させ芳香成分が抽出されます。
この方法で取られた芳香成分をアブソリュートと呼び水蒸気蒸留法と区別されます。
ちなみに、ローズ、の水蒸気蒸留法で取られたものをローズオットーと呼び区別します。アブソリュートの方がより花に近い香りがするので香水の原料として使われることが多いです。
圧搾法
レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ベルガモット、マンダリン、ライムなど柑橘類の抽出方法です。
それらは、果皮の色付いた部分に精油成分が含まれています。みかんやオレンジの皮をむくときに、ヌルっとした感覚を経験したことが多いと思いますが、それが精油です。現在では機械で圧搾し抽出する方法が主流です。
【水蒸気蒸留法】
イランイラン、カモミール、カルダモン、クラリセージ、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、ジュニパー、ゼラニウム、ティーツリー、フランキンセンス、ペパーミント、ネロリ、マージョラム、ミルラ、ユーカリ、ラベンダー、ローズ(オットー)、ローズマリー、ローズウッド、
【溶剤抽出法(アンフルラージュ法)】
ジャスミン、ネロリ、ローズ、フランキンセンス、ミルラ、ベンゾイン、
【圧搾法】
オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ベルガモット、ライムなどの柑橘系
精油の抽出部位について
精油は植物の色々な部位から抽出されます。同じ植物の精油でも部位が違うと異なる精油になります。
例えば、ビターオレンジは果皮だと「ビターオレンジ」、花だと「ネロリ」、小枝と若い葉からだと「プチグレン」と異なり香りはもちろん精油成分も精油の働きも異なります。しかし、同じ植物から抽出されるだけあって、ビターオレンジが残る香りがします。
【果皮】(食用にする部位ではなく表面んの皮から抽出)
オレンジ、グレープフルーツ、ベルガモット、レモン、ライム、
【花】(花が開くと香りが飛んでしまうので、つぼみから抽出)
イランイラン、カモミール、ローズ、ジャスミン、ネロリ、ヤロウ、
【葉】(葉に芳香成分が含まれている植物)
ティーツリー、パチュリー、ユーカリ、レモングラス、
【花と葉】(花の小さなハーブは花と葉の付いた穂先から抽出)
クラリセージ、ゼラニウム、ペパーミント、マージョラム、メリッサ、ラベンダー、ローズマリー
【木部】(木部に芳香成分が含まれる植物)
サンダルウッド、シダーウッド、ローズウッド、ヒノキ、
【樹脂と木皮】(樹脂を含む木肌から抽出)
ミルラ(没薬)
【樹果】(実に芳香成分が含まれる植物)
ジュニパー、ブラックペッパー、
【樹果と葉】(実と葉に芳香成分が含まれる植物)
サイプレス、
【種子】
カルダモン
精油の「ケモタイプ」
タイム、ローズマリーなどにはケモタイプというものがあり、単一の種類であるのに精油成分の構成比率に著しく違いが生じるものをいいます。
これは、精油の原料となる植物(この場合タイム、ローズマリー)の生育環境(日照、季節変動などの要因)の違いによって、同じ植物ながら精油成分に違いがでたためです。
精油の選び方、買い方
精油を選ぶときは天然のものを選びましょう。日本では精油は雑貨扱いなのでアロマショップやハーブショップ以外の雑貨店などでも販売することができます。
天然の精油であることを確かめるポイントは、精油品名、学名、原産国、抽出方法、抽出部位、品質保持期限、輸入元、製造元、取扱い説明など記載されているかチェックします。
精油が入っているビンは遮光性のもので、瓶の口から一滴づつ落とせるドロッパーがついているもので、一度ふたを開けるとわかるような密閉タイプがおすすめです。
精油の抽出方法と抽出部位について主にお伝えしましたが、まずは、自分の好きな香りをみつけましょう。
精油の香りを嗅ぐときは一度に3〜5種類にしましょう。一度に多くの香りを嗅ぐと香りを感じる感覚が鈍ってしまいます。
そして、嗅ぐときはビンを鼻から少し離して嗅ぐか、ムエットがあればそれに一滴たらして鼻の前で振って嗅いでみましょう。
精油を取り扱う上で注意する法律
医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品、健康食品を取り扱うにあたり「薬機法」という法律で定義づけられ規制に活用されています。精油は日本では雑貨扱いになっていますので、小分けして販売したりスキンケア用のクラフトやアロマ用品を作って第三者にプレゼントしてもいけません。
精油は、自己責任において自分自身が使用しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回はアロマセラピーと精油について紹介しましたが精油の香りの印象は、その時の気分の状態などによっても変わりますので色々と試してみると自分が好む香りの傾向が解っていきます。
そして、色々と試している間にアロマセラピーの奥深さに魅了されることでしょう。